Vol. 35 J.P.モルガン(1837-1913)
「モルガナイト」は彼にちなんで名づけられました
J.P.モルガンはその時代の世界中で最も影響力のある財界人でした。彼は米国を財政破綻から個人的に救った人物です。10億ドルもの資金を集め、ニューヨーク株式取引所の壊滅から救いました。
J.P.モルガンはコネティカット州に生まれ、ヨーロッパで育ち、スイスとドイツで教育を受けました。1857年に彼は銀行の会計係の職を得てニューヨークに移ります。 ロンドン在住のアメリカ人銀行家であるモルガンの父が投資銀行を設立したことが彼の富と名声への道を開きました。
モルガンは決断力のある大胆な商取引でも評判を得ました。彼の会社は大変強力だったため、他社との合併や組織改変に至り、1912年までに、彼は112の会社で341の役員の地位を持ち、そこからの利益は220億ドルを超えていました。
生涯を通じて社会貢献者であり続けたモルガンは監督派教会、病院や学校への多大な寄付をしていました。彼の設立したニューヨークのモルガン図書館には25,000冊の珍しい本が集められています。
1871年に、モルガンはニューヨークのメトロポリタン博物館設立に寄与しました。エジプトの遺物に魅せられたモルガンは中東訪問をしたり、古代遺物のギャラリーを寄付するなどして、博物館の古代史研究に拍車をかけました。モルガンの死後、彼の本と有名な芸術品のコレクション(ほとんどはメトロポリタン博物館に所蔵されました)は6000万ドルもの価値があったそうです。
モルガンの宝石好きも伝説となっています。ベリルのピンク色の変種である「モルガナイト」はモルガンにちなんで名づけられました。彼はティファニー社のジョージ・F・クンツが宝石収集旅行の資金として何百万ドルも寄付しました。これにより、世界最大で最高の宝石コレクションが出来上がったのです。1900年のパリ万博のためにクンツが収集したモルガン・コレクションとして、2,176個の宝石と、宝石と2,442個の真珠で作られた芸術装飾品が展示されました。その他には、アメリカ自然史博物館のモルガン・ティファニーの宝石コレクション、モルガン・バーネット・鉱物・隕石コレクション、パリ自然史博物館のモルガン宝石・鉱物コレクションがあります。