Vol. 33 ジョルジュ・ブラック(1882-1963)
モダンジュエリーのデザインにも革命を起こしたキュビズムの画家
19 世紀の画家でデザイナー、ジョルジュ・ブラックの作品は、「芸術」という言葉に新しい局面を見出しました。フランス生まれのブラックはパリでアートを学びました。1906年までに彼と数人の突出した芸術家たちは、活気に満ちた色合いと先例のない自由な形に特色のある絵画スタイルを形成します。敵意をもった批評家たちはブラックと彼の仲間のことを「フォーブ」(野獣)と呼んだため、この有名な運動は「フォービズム」と名づけられました。
その後、ブラックはパブロ・ピカソと共にキュービズムの先駆者となっていきます。丹念にファセットされたような多面的なイメージをもったキュービズムは芸術の歴史において最も影響力のある運動のひとつとなりました。ブラックはこの運動の最も有名なリーダーのひとりでした。彼は彫刻、ステンドグラス、グラフィックスなどでも名を馳せます。
1950年代から1960年代にかけて、ブラックはモダンジュエリーのデザインにも革命的な影響を及ぼします。ブラックが81歳のときに、133点にも及ぶ彼の美しいジュエリーデザインがパリ装飾美術館で展示されました。そのほとんどは古典的なテーマをキュービズムのスタイルに解釈したものでした。 その中の多くは薄くカットしたジャスパー、ロードクロサイト、ラピスラズリ、ターコイズなどの上に表面仕上げを施したゴールドをあしらったものでした。